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先日、11月7日に消費者庁はクズの花由来のイソフラボンを含むと謳う機能性表示食品を摂取しただけで「体重やおなかの脂肪を減らす」などと広告をしたのは景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、販売元の太田胃散(東京)やスギ薬局(愛知)、ニッセン(京都)など計16社に再発防止を求める措置命令を出しました。機能性表示食品は、体にどのように良い効果があるのかを国の許可なく表示できる制度。平成27年に始まり、消費者庁による措置命令は初めてとなります。

対象となったのは太田胃散「葛の花イソフラボン貴妃」、スギ薬局「葛の花プレミアム青汁」など計19商品。各社から提出された資料では、効果を裏付ける合理的な根拠は確認できなかったとのこと。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171107_0001.pdf

今回の措置命令は、当該企業の広告内容や広告の仕方がお客様に誤認を与えていると判断されたものであり、機能性関与成分である「葛の花由来イソフラボン」の機能性に疑義が生じたものではありませんが、消費者はしっかり見極めて使う必要がありそうです。

葛の花イソフラボンとは

葛とは生薬として昔から使われてきたマメ科の植物です。特に根の部分は葛根(かっこん)と言います。「葛根湯」なら知っている人も多いでしょう。
風邪の引き始めに飲むというイメージがあるかと思いますが、葛根には体表の熱や風寒の邪を散らす作用があります。また首や肩、背中などの筋肉を緩めて血流を良くすることで、風邪の症状を緩和するのです。日本で葛というと「吉野葛」「若狭葛」「秋月葛」などが有名ですが、どれも葛の根から取れるでんぷんを使って作る葛餅、葛きりなどが有名です。葛根に比べると、葛の花(かっか)はあまり知られていませんが、紅紫色をした花を夏から秋にかけて咲かせます。
マメ科クズ属の花は、漢方薬として1000年以上前より利用されてきました。中国・民の時代には葛の花は「酒毒を解き渇きを止める」といわれ、二日酔いに用いられてきました。
漢方では葛花(かっか)と呼ばれ、飲酒によるめまい、嘔吐、だるさなどに処方される「葛花解醒湯(かっかかいていとう)の主剤です。香港などにおいては、1950年代からお茶として飲用されてきたように、食経験の長い植物です。この花には3種類のサポニンと、7種類のイソフラボンが含まれていると言われています。中でも、テクトリゲニン類というイソフラボンが多く含まれていて、最近このイソフラボンにダイエット効果があると注目され、サプリメント原料として注目されています。

サプリメント原料としての葛の花抽出エキス

クズの花や蕾を乾燥したものを原料として用いますが、この乾燥花の熱水抽出物中は葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)(PFIF)、つまり、配糖体型イソフラボンTectorid、Tectorigenin-7-O-xylosylglucosideおよびこれらのアグリコン型であるテクトリゲニン(Tectorigenin)を主要成分として含有します。クズは、マメ科の大形蔓性の多年草であり、東アジアや東南アジアを中心にして広く分布していて、どの種を用いても良いのですがプエラリア・ロバータ(Pueraria lobate)、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thompsonii)が好適とされています。抽出には溶剤として水のみでも良いのですが、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの単独またはこれと水との混合物、特に濃度70%以上のエタノール水溶液を用いるのが良いとされています。
以下に脂肪への機能性について整理しておきます。

腹部の脂肪面積を減少させる

葛の花由来イソフラボンには、腹部の脂肪面積を減少させる作用があることがわかっています。これについては、マウスを使った実験がされています。
高脂肪食を食べさせるマウス群
高脂肪に5%の葛の花抽出物を食べさせるマウス群とにわけ、42日間食べさせた結果、後者のほうが、体脂肪重量が有意に低い値を示しました。さらに調べていくと、肝臓での脂肪合成系遺伝子(ACC)の発現が有意に低下したり、白色脂肪での脂肪分解系遺伝子(HSL)の発現が増加がしていることがわかりました。つまり、葛の花由来イソフラボンは肝臓での脂肪の合成を妨げ、かつ脂肪細胞の分解を促進しているという報告です。
マウスの脂肪細胞を使用した実験でも、葛の花エキスを添加した細胞と、添加しない細胞で脂肪の蓄積を比較したところ、葛の花エキスを添加したほうが、細胞内の脂肪の蓄積を20%以上も抑えることができるという結果でした。
葛の花由来イソフラボンの摂取量の目安は1日35mgです。
1日28mg摂取したグループと35mg摂取したグループの比較試験では、35mgグループのほうが、かなり有意に脂肪面積が低値となりました。
また、葛の花由来イソフラボンサプリメントは他にもさまざまな成分が一緒に配合されて販売されています。ビタミンや黒酢、しょうが、また青汁に葛の花由来イソフラボンを配合しているものもあります。ですから、ダイエット効果以外にどういった作用がほしいかを考えて選ぶのと良いでしょう。また、葛の花由来イソフラボンは即効性のあるダイエット成分ではありません。

葛の花由来イソフラボンの安全性について

安全性についてもさまざまな試験が行われています。現在のところ、毒性や副作用は認められていません。ただし、葛の花由来イソフラボンは少しではありますが、女性ホルモン(エストロゲン)様作用があるので、妊娠中や授乳中の摂取は避けたほうが良いでしょう。

葛の花由来のイソフラボンと大豆イソフラボンの違い

イソフラボンというと、有名なのが「大豆イソフラボン」です。
女性の体に良いとされる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た形をしていることから女性ホルモンのバランスが崩れているとき、更年期などに有効と言われていますが、葛の花イソフラボンと何か違いはあるのでしょうか。
イソフラボン、というと女性ホルモンに似た構造をしているためエストロゲン様作用がある、と言われ、子宮筋腫や乳がんがある方には禁忌となっています。これが「大豆イソフラボン」です。食品安全委員会では、1日の食品で摂取するイソフラボンは75mg以内と定めています。
しかし葛の花イソフラボンはテクトリゲニン類イソフラボンのため大豆イソフラボンとは異なり安全性試験での子宮肥大試験においても、問題がないことが確認されており子宮筋腫への心配がないことがわかっています。大豆イソフラボンはダイゼインとゲニステインにおける主要なイソフラボン類で葛の花イソフラボンは7つのテクトリゲニン類イソフラボンです。
葛の花イソフラボンは7種類の成分から成り立ちます。

テクトリゲニン類の働き

葛の花由来イソフラボン配合のサプリの機能性は、ポリフェノールの一種であるテクトリゲニン類によるものです。テクトリゲニン類は
肝臓で脂肪の合成を抑える
脂肪細胞で脂肪酸を燃焼しやすい状態に分解する
脂肪細胞の脂肪酸を燃焼させる
ことが臨床試験で確認されています。
これらの働きにより、葛の花由来のイソフラボンには肥満気味な方の、体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)やウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があり、機能性表示食品として届けられている、サプリメントが多いのです。

褐色脂肪細胞と脂肪燃焼のメカニズム

体には約300億個もの脂肪細胞が存在し、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。そのうち、白色脂肪細胞は、食事から摂取し、過剰に余ったエネルギー分を脂肪として貯め込む働きをします。一方、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼、分解する作用があります。
褐色脂肪細胞が活性すると、体内に蓄積された脂肪が、燃焼、分解されるのです。
つまり、体内にため込んだ脂肪を燃焼、分解させるには、褐色細胞を活性させることが必要です。しかし、年齢を重ねると、褐色脂肪細胞が減少し、脂肪を分解する力、燃焼する力が弱まってしまいます。そのため、体に脂肪が溜まりやすくなります。年々、同じ生活をしていても、太りやすくなるいわゆる中年太りはそのためです。