栄養摂取基準2020年度改定ポイント

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厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」について、策定検討会(座長:伊藤貞嘉・東北大学名誉教授)がまとめた報告書を2019年12月24日に公表しました。
現状、市販図書等への反映はこれからと思われますので、報告書をもとに改訂のポイントと2015年版からの変更点を報告書から抜粋してご紹介します。詳しい改定内容については、厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会 報告書を参照ください。

今回の2020年版は従来の健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防および重症化予防の観点に加え、栄養に関連した身体・代謝機能の低下を回避するために、高齢社会の更なる進展を踏まえ、高齢者の低栄養・フレイル予防を新たに視野に入れて策定されました。
2020年版は今年度中に告示される予定です。

*なお、検定試験に関して、2020年度の改定内容の反映については、2020年9月の試験より反映予定です。今後「栄養セフルケア検定」総合サイトにて適宜お知らせしてまいります。

栄養摂取基準2020年度改定ポイント

【策定方針】

1、策定の目的に「高齢者の低栄養・フレイル予防」が追加されました。

フレイルについては以下のように紹介されています。
対象とする個人及び集団の範囲としては、「高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していたりしても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成されている集団は含むものとする。具体的には、歩行や家事などの身体活動を行っている者であり、体格(BMI)が標準より著しく外れていない者とする。フレイルについては、現在のところ世界的に統一された概念は存在せず、フレイルを健康状態と要介護状態の中間的な段階に位置づける考え方と、ハイリスク状態から重度障害状態までをも含める考え方があるが、食事摂取基準においては、食事摂取基準の対象範囲を踏まえ、前者の考え方を採用する。」

上記の考え方に基づき、たんぱく質、カルシウム、ビタミンD等にフレイル予防の記載が追加されました。
たんぱく質 報告を紹介、フレイル改善のためのたんぱく質量について結論は出ていない。
カルシウム フレイルに関係すると考えられるが予防のための量を設定するには根拠不足。
ビタミンD 骨折予防に寄与している可能性が考えられる。フレイル予防を目的とした量を設定するには科学的根拠がない。日光浴を心がけることを推奨。

2、高齢者の年齢区分が変更され、前期高齢者と後期高齢者が区分されました。

年齢区分が以下のように変更になりました。
50~69→50~64に変更
70以上→65~74、75以上の2つに分けました。

3、フレイル予防を考慮し、65~69歳の目標とするBMIの範囲の下限が引き上げられました。

50~64 20.0~24.9
65~74 21.5~24.9
75以上 21.5~24.9

4、【たんぱく質】フレイル及びサルコペニアの発症予防を考慮し、50歳以上の目標量の下限値が引き上げられました。

50~64 14~20
65以上 15~20

たんぱく質維持必要量は、0.65から男女共全年齢区分で同一の0.66に変更されました。

5、【ナトリウム】食塩相当量の目標量が引き下げられました。

男性 7.5
女性 6.5

高血圧・CKD重症化予防のための量が追加されました。
→高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は男女とも6.0g/日未満とした。

高齢者の極端なナトリウム制限(減塩)は注意が必要です。
→高齢者では食欲低下があり、極端なナトリウム制限(減塩)はエネルギーやたんぱく質を始め多くの栄養素の摂取量の低下を招き、フレイルにつながることも考えられる。したがって、高齢者におけるナトリウム制限(減塩)は、健康状態、病態及び摂食量全体を見て弾力的に運用すべきである。

6、【コレステロール】脂質異常症の重症化予防を目的とした量が新たに設定されました。
(飽和脂肪酸の脚注に記載)

→脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい。

7、【ビタミンD】目安量が引き上げられました。

18歳以上 目安量(μg/日) 5.5 から8.5へ

「日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、適度な日照を心がけ、ビタミンD摂取においては、日照時間を考慮に入れることが重要である。」とした。

8、【クロム】耐容上限量が新たに策定されました。

18歳以上 耐容上限量(μg/日) 500

9、【目標量】食事摂取基準を利用する専門職の理解の一助となるよう、目標量のエビデンスレベルが新たに設定されました。