健康食品の今、2020年総括 その2

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前回は業界動向として健康食品制度の動きについてお伝えしましたが、今回は今後注目される健康食品のテーマについてお話ししてみたいと思います。

80歳まで働かなくてはならない時代へ

超高齢化社会になり、昨年末に公開された2020年度の食事摂取基準でも高齢者の概念が書き換えられるほど、これからは年金だけではやっていけない時代が来ます。60代がのんびり余生を過ごすのではなく、70、80歳まで働かざるを得ない社会になるということです。そうなると、「病気を予防する時代」から、「病気を抱えつつも寝たきりにならない時代」に変わっていくでしょう。

フレイルが社会キーワードに

サプリメント業界の安全性・品質などの指標が整って来ると、かつてのように未知の素材を追求することよりも、知られた素材、つまりエビデンスや安全性が確保された素材の機能が明確に示され、かつメタボ対策(酸化・糖化、炎症体質など)、脳梗塞、骨粗鬆症といった疾病予防に加え、疲労感、不眠、抑うつ、更年期障害といった「不調を整える製品」が増えるでしょう。現に昨年から不眠関連素材が非常に増えています。それも新素材ではなく既知の成分の新たな機能性を訴求した製品です。特に今年から数年先にかけての健康テーマのトレンドは、「フレイル」です。超高齢化社会において、メタボの何倍もの市場価値があるとみられています。なぜならメタボが体に関するテーマであるのに対して、フレイルは、体だけではなく、心(精神)、社会(人との関わり)の3分野に広くまたがる概念だからです。フレイルとは虚弱と訳されます。つまり、体の虚弱だけではなく、認知症や高齢者うつなどの精神的虚弱と、孤食や社会との隔絶など社会的虚弱も含む広範囲に渡るテーマだからです。現に2020年度の食事摂取基準ではこのフレイル対策が組み込まれました。フレイル関連の健康食品は昨年から動き始め、食品、医薬品会社とも様々な素材研究が急速に進んでいます。

さらに今年から、機能性表示食品にもこれまでできなかった軽症者(つまり病気の初期症状の人)を対象とした医療データが健康食品の開発で使えるようになりました。これは画期的なことです。私が理事を務める業界団体でも「医療的GDP評価(健康食品が医療費削減にどのくらい寄与するか?)」を10年前から取り組んでいますが、この医療データ(レセプト)が使えないことが研究の妨げになっていました。現在では「軽度認知症(MCI)」「花粉症などのアレルギー」「尿酸」などの分野の開発にこの医療データの利用が認めらました。今後も増えていくでしょう。また最近、国立長寿研究センターの報告で、「認知症と腸内細菌との関係」が報告され、加えてSIBO(小腸内細菌増殖症:小腸の中で腸内細菌が爆発的に増えてしまう病気)やIBS(過敏性腸症候群:ストレスで下痢や便秘を繰り返す病気)などの疾病が10人に1人となり、認知症以外に更年期や高齢期のうつ病などのストレス性疾患に発展することも予測されています。

今後の製品開発にフレイルは欠かせないテーマになることは、間違いありません。