健康食品の今、2020年総括 その1

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これまで食品と医薬品の違いや栄養素と機能性成分の作用機序の違いなど、根本的な部分のお話をしてきました。今回は2回に渡って2020年の総括として、業界や健康施策の動向についてご紹介します。

健康食品の業界内規制がさらに進む

トクホ制度が始まった1990年代前半の頃から、私は健康食品に関わって日米の動向をみてきましたが、この30年、日本の健康食品も大きく様変わりしました。そして5年前には機能性表示食品制度も誕生しました。しかしその過程で常に疑問がありました。それは「食品の機能性の評価軸」です。食と薬は基本的に違うと言いながら、その評価法や分析法のすべては医薬品を踏襲したものでした。食品には20万種類の化合物が含まれると言われますが、現在確認できている栄養素は40種類程度、機能性成分に関しても数百種類くらいと、まだまだ分かっていない部分が圧倒的に多いのです。
これまでお話ししてきましたが、薬は単体で抽出した「単一成分」を対象に科学的検証をしますが、食品は20万種類の化合物が天文学的な数字の組み合わせによってその機能を発揮しているわけですから、その検証は不可能です。 「食品には機能性はない」といった時代が長く続き、次に食の機能性が判明したら、今度は「機能性を科学的に証明すべき」となってきたわけですね。結局、業界側はそれに対する「明確な答え」を出せずにいました。ところが、近年の科学の革新的な進歩と、食の機能性に懐疑的だった医学界の理解が高まってきたことで、この「食品の機能性の評価軸の構築」に光が見えてきました。
現在、業界団体と消費者庁が中心で、業界独自の「公正競争規約」というものを作ろうという動きが本格化しています。手始めに3月にはトクホの公正競争規約が公表され4月に施行予定です。また機能性表示食品についても公正競争規約の元となるガイドラインの策定作業が進められています。
公正競争規約というのは、表示などについて、何が良くて、何が悪いかということを明文化し、ガイドラインにしようというものです。すでに100以上の業界がこの競争規約を作っています。この規約作りには、一般の販売企業だけではなく、原料メーカーや通販業界も関わり、全体で作っていくことになります。訪販業界も関わっていくでしょう。いずれ製品には公正マークがつき、機能性表示食品について、「ある一定の品質や広告を守っている製品」という証明になっていきます。

業界の海外進出にも「機能性表示食品」がキーに

機能性表示食品制度ができて5年経った現在、2600件を超える製品が届けられています。広がり方はさらに期待できるでしょう。「いわゆる健康食品」と「保健機能食品」の差が広がり、消費者が明確に安心できる製品とそうでない製品の区別がつきやすい時代に向かうことでしょう。さらにこの機能性表示食品の可能性の一つに、海外展開が考えられます。
トクホや栄養機能食品が国内需要を想定した制度であるのに対して、機能性表示食品は私たちが試案を作り始めた当初から、米国のサプリメント基本法(DSHEA)を元に案を策定しているため、海外でも通用する制度になっています。実際海外でも同様の動きが加速し、韓国でも機能性表示食品のような制度が始まり、また台湾、ASEAN(東南アジア諸国)でも欧米をターゲットにした国際基準に即した制度が作られてきています。機能性を明確に示せない製品は日本で売れても海外では通用しません。

界が制度の面や品質の面で、安全性や素材の品質などの指標が整うと、ますます製品が主役の市場となり、海外で通用する製品が求められます。この健康テーマのトレンドについては、次号以降でご紹介していきたいと思います。