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アンチエイジング(anti-aging)とは「抗加齢」を意味する言葉で「抗老化」とも言います。いつまでも若々しい心と体を維持したい、実際の年齢よりも若く見せたい(見られたい)、出来るだけ長生きしたい、といった欲望は、老若男女すべてに共通しているテーマですね。アンチエイジング医学は生活習慣を改善して健康長寿を目指していく医学であり、アンバランスな病的老化の予防、治療を基本としている。また、老化のメカニズム解明や抗加齢医学に基づく医療の実践、各科に渡る全身的医療もアンチエイジングの分野です。
このシリーズでは元気でいられるための健康維持に不可欠なアンチエイジング(坑老化)を理解する上でキーワードとなる「酸化」と「糖化」の関係を踏まえながら、昨今話題の「抗糖化」の基本と糖化を防ぐ生活についてご説明していきます。

セルフケア推進協議会 代表理事 橋口智親


糖化のメカニズム

前回の第一回目では、体が酸化することはどういうことなのか?また糖化とは何か?についてお話ししてきました。
今回は、糖化が起きるメカニズムについて説明します。糖化によってAGEができるという話は前回しましたが、このAGE(advanced glycation endproducts終末糖化産物)とはタンパク質と糖が加熱されてできた物質のことをいい、強い毒性を持ち、老化を進める原因物質とされています。

AGEが血管に蓄積すると心筋梗塞や脳梗塞、骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障の一因となり、全身の健康に影響を及ぼします。
私たちの体を構成している細胞は、食事から摂取した糖をエネルギーとして生命活動を営んでいます。このため、血液中には空腹時でもおよそ80〜100mg/dL(100mlの血液中に80〜100mg)のブドウ糖が含まれ、血糖と呼ばれます。

余った血糖がたんぱく質と結びつき「糖化」することが病気と老化の根本原因

この血糖がたんぱく質と反応することを糖化(glycation:グリケーション)といいます。体内の「糖化現象」は、まず血中で起こります。
食べ過ぎ等で産生した血糖がエネルギー消費を上回る状態が続くと、血液中に血糖が大量に余ります。血中に余分な糖が増え、赤血球のたんぱく質・ヘモグロビンと結合し、AGEsが発生します。
下の図のように、赤血球のたんぱく質・ヘモグロビンと糖が結合すると糖化ヘモグロビン(HbA1c)となり、ヘモグロビンの全身に酸素を運ぶ能力が低下し、体中の細胞が低酸素状態となり新陳代謝が低下してしまいます。ホルモン、栄養素を運搬するアルブミンが糖化するとグリコアルブミン(GA)となります。

糖化したヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を果たせなくなり、体中の細胞が低酸素状態に陥って、新陳代謝が低下していく。これが進むと、体内のあらゆる部位にあるたんぱく質の一種、コラーゲンにAGEsが発生する。すると血管の内側が傷つき動脈硬化になり、ひいては心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因に。


動脈硬化はなぜ起きる?

エネルギー源である糖は人にとって必要不可欠で、絶対摂らなければなりません。人類はその長い歴史のなかで、飢餓の状態、災害や食糧難による栄養不足に襲われ続けてきました。そのため、人間はなんとかエネルギー源であるブドウ糖を体内に蓄えようと進化してきました。体内でブドウ糖は脂肪に変えられて蓄積されます。その体質は現代人であるわれわれにもそのまま受け継がれています。摂取したブドウ糖を余さず燃やしてエネルギーを消費すれば健康で元気な状態が保たれます。しかし過剰な糖が産生されると、燃焼しきれない余剰の糖が体脂肪として蓄積されていきます。肥満した脂肪組織では有害な活性酸素の発生が促進され、いわゆるメタボリックシンドロームの状態になるのです。

脂質であるコレステロールはそのままでは血液に溶けないため、特殊な蛋白質がくっついた「リポタンパク」という形で体内を巡っています。そのリポタンパク質の中にHDLLDLがあります。HDLは血管壁に付着したコレステロールをはがして肝臓に運びます。LDLは肝臓に溜まったコレステロールを血液中に運び出す役割です。
しかし糖質やアルコールの摂取量が過剰になると中性脂肪が増えます。また血糖値が高くなるとLDLが糖化して糖化LDLに、活性酸素が増えると酸化LDLに変化します。
これらが血管の壁に入り込むと、膿状に溜まって膨らんでいきます。この中に白血球の一種で貪食細胞のマクロファージが集まり、酸化物や糖化物を食べて膨らんで泡沫細胞になって動脈内膜にたまり、プラーク(異常な組織)を形成します。このプラークがこぶのようになってさらに血管を狭く、詰まりやすくします。動脈硬化によって全身に深刻な病気が発症します。

こうしてLDLが糖化されてできるAGEs(老化物質)の蓄積と多量に放出される活性酸素による酸化ダメージによってアテロームが発生し周囲の損傷が進み、動脈硬化を促進することがわかっています。

また血管の弾力を保つためにはコラーゲンは欠かせません。そのコラーゲンが糖化すると弾力性が低下し硬化します。また糖化したコラーゲン自体が血管の内膜に蓄積して血管を詰まらせてしまいます。このように糖化は動脈硬化と密接につながっているのです。

毛細血管が詰まりやすくなるので、ED、糖尿病網膜症、脳なら認知症にもつながります。さらに骨にも大量のコラーゲンがあるので骨粗鬆症の原因になる…といった具合に、全身の病気に「糖化」は関わるのです。

肌のくすみ、たるみやシワも、肌の表皮の下にたまったAGEsが起こします。「肌の色が茶色っぽくくすむのは、褐色のAGEsが皮膚にある証拠です。

次回は糖化と関係する様々な病気について見ていきます。