シリーズ栄養と疾病~骨粗鬆症編 その2

がんや糖尿病、虚血性心疾患や脳血管疾患などの生活習慣病の他、人生を全うするまでに罹る可能性のある疾病は数多くあります。私たちが健康維持を考える時、さまざまな疾病の予防策を意識することも大切です。このシリーズでは年齢層に関わらず、日本人が罹りやすい疾病を中心に取り上げ、基礎的な疾病の知識と予防となる栄養との関わりを再確認していきます。


●骨は毎日コツコツと生まれ変わっている!

前回、骨粗鬆症の定義と骨の基本的な役割についておさらいをしました。骨が私たちのからだにとってどれだけ大切なものか、改めて理解していただけたかと思います。そんな大切な骨が、なぜ骨粗鬆症になってしまうのか?
その原因を紐解く前に、骨の仕組みについて理解しておきましょう。

骨はからだの成長が止まったからといって、そのままの状態で存在しているわけではありません。骨の古くなった部分を修復するために溶かして破壊し(骨吸収)、破壊された部分を埋めるために新たに骨を成形しています(骨形成)。この骨吸収と骨形成の繰り返しによって、骨は毎日少しずつ生まれ変わっていきます。いわば骨の新陳代謝が行われているのです。骨粗鬆症の骨は、このサイクルが崩れて骨の破壊(骨吸収)が亢進し、骨を成形する機能(骨形成)がそれに追いつかない状態になっています。

健康な骨:骨吸収 ≧ 骨形成    骨粗鬆症の骨:骨吸収 > 骨形成

骨が壊れるのを防ぐ薬(骨吸収抑制剤)の働き

骨を造る薬(骨形成促進剤)の働き

また、前回お伝えした骨粗鬆症の定義が明確化された当初は、その診断や予防としても骨密度が重要視されていました。しかし、その後の経過から骨粗鬆症の原因は骨密度だけではないことがわかり、現在では骨強度の低下によって骨折のリスクが高まってしまう疾患であると改められています。
骨強度は、骨密度骨質の二つの要因が、それぞれの割合で関わっているという説明がされるようになりました。

骨密度(70%):骨の中にあるカルシウムなどのミネラル成分がどれだけ詰まっているか
骨質(30%) :コラーゲン繊維の質(骨の中でビルの鉄筋のような役割を果たしている)の劣化状態を表す


骨粗鬆症の2つの原因

●骨粗鬆症の原因Ⅰ「原発性骨粗鬆症」

原因は大きく二つのタイプに分けることができます。そのひとつ目は「原発性骨粗鬆症」です。これは原因となる病気などがなく、以下のような加齢・閉経・生活環境による栄養欠乏などによって引き起こされます。

・加齢
加齢によって骨形成のスピードが落ちる。日頃の運動習慣もなく筋力が低下し運動ができない、あるいは寝たきりのため、からだに負荷がかからない状態が続いてしまうことでも、骨密度・骨質が共に低下する。
・女性ホルモンの減少
よく言われる女性の閉経後の骨粗鬆症のリスク要因として、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの急激な減少がある。エストロゲンは骨吸収を緩やかにして骨に貯蔵されているカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあるが、それが急激に減少することによって骨吸収のスピードが急速になり、骨形成が追いつけずに結果的に骨密度が低下する。
・栄養不足
成長期の無理なダイエットや偏食、または生活環境によって栄養不足(特にカルシウム、ビタミンD、ビタミンK)になると、骨吸収が加速し、将来的に骨粗鬆症になるリスクが高くなる。

●骨粗鬆症の原因Ⅱ「続発性骨粗鬆症」

続発性骨粗鬆症とは、病気や薬の服用によって引き起こされる骨粗鬆症です。
原因となる病気には原発性副甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌系の病気や、糖尿病、関節リウマチ、慢性腎臓病などがあります。また病気の治療に用いるステロイド薬(副腎皮質ホルモン)やワルファリンなどの薬が原因となることやアルコールの飲みすぎや胃切除、悪性腫瘍に対する化学療法などが原因となることもあります。
それぞれの病気や薬物などの種類によって、骨密度だけが低下したり、骨質の方が特に劣化したりとパターンはさまざまですが、原発性骨粗鬆症と同様に骨折のリスクが高くなります。ステロイド薬、関節リウマチ、糖尿病、また病気ではなくても過度な飲酒や喫煙は、特に骨質の劣化の要因となります。
男女差や年齢によらず、誰にでも骨粗鬆症になる可能性があるということがおわかりいただけたでしょうか。
さて次回は、いよいよ骨粗鬆症の予防に役立つ栄養素のご紹介です。既に知っているものも知らないものもあるかもしれませんが、この先長いお付き合いが必要な栄養素です。何度でも確認してみましょう!


《参考》
公益財団法人 骨粗鬆症財団
http://www.jpof.or.jp/about/sickness/

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」(一般社団法人 日本骨粗鬆症学会他)
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
「女性のミカタ」プロジェクトホームページ
http://jyoseinomikata.jp/osteoporosis/