【フレイルを考えよう その3】社会的フレイル

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これまでフレイルの3つの分野について解説してきました。最後は社会的フレイル(ソーシャルフレイル)についてご説明します。

社会性のフレイル(ソーシャルフレイル)とは

フレイルを予防するには適度な「運動」と「栄養バランス」の取れた食生活が重要となることはこれまで述べてきましたが、最近では「社会活動への参加」頻度の低下がフレイルの入り口になりやすいということもわかってきました。
 高齢になると社会的なネットワーク(つながり)は減少する傾向にあり、行動範囲が狭まってきます。身体的な衰えに加えて、退職・子供の独立・親しい人との死別など、社会的な変化が訪れ、気力や活力を失くすきっかけともなります。これを社会的フレイル、「社会活動への参加や社会的交流に対する脆弱さが増している状態」と捉えます。(確定的な基準ではありませんが、外出頻度は1日1回未満(2、3日に1回以下)の閉じこもり傾向」「同居家族以外との交流は週1回未満の社会的孤立状態」が指標とされます。)
 社会との接点が希薄になってしまうと、心身に問題を抱えることも多くなり、フレイルを悪化させてしまいます。高齢者を対象とした多くの研究で、社会的なフレイル状態は心身機能の低下を加速させる要因となりうることが指摘されています。
 一般的にコミュニケーションの機会が少なくなると、相手の気持ちを読んだり配慮したりする力が弱くなることがあります。人とのコミュニケーションは極めて高次の能力を必要とするものです。この能力が損なわれることによって、社会的フレイルはさらに進んでしまいます。

3つのフレイルの関係性が重要となる

フレイルは身体的な問題だけにとどまらず、精神心理や社会的な要素を含む非常に幅広い概念です。相互に関連し、どこに問題が生じても他の要素を引き込み、ドミノ倒しのように重症化する危険があります。
 3つの要素のうち何がきっかけになるかは人より異なりますが、最近の研究では、とくに「閉じこもり傾向」や「孤立」が生活機能の低下につながりやすいことが指摘されています。外出が減り、家に閉じこもりがちになると、筋肉が衰え身体的フレイルへと進行してしまうことが少なくありません。サルコペニアなど身体的な衰えだけではなく、気力や活力が低下すると、精神心理的フレイルにもつながります。精神心理的側面、とくに認知機能の低下にも関わっています。日常的に生活変化が少ない、または活動性が低くなっている状態の場合、脳への刺激量が少なくなり、認知機能や精神機能が低下しやすくなることが指摘されています。
 このように身体的フレイルにより、精神面に影響が出る、あるいは社会的フレイルが進行することで、身体的・精神的フレイルもまた進行してしまう、というようにそれぞれが関連しています。周囲との新しい関わりを見出すことで、社会とのつながりを無くさない動議づけが必要です。
 「社会活動への参加」「社会的交流」というと大袈裟なようですが、就労、ボランティア活動、生涯学習・趣味などのグループ活動、友人との交流・近所付き合いなど、自分の可能な範囲で地域コミュニティに参加することに意味があります。人との関わりを持ち続けることが、心の衰えを防ぐのです。
 また「孤食」という問題も指摘されています。つまり一人っきりで食事をすることが精神的孤立を生み、結果フレイルが進行するということです。「誰かと一緒に食事を摂る」ことを「共食」といいますが、家族・友人・趣味の仲間、誰かと一緒に食事をすれば、コミュニケーションも増え、自然と食欲が高まり、いろいろな食材を食べることにもつながります。そうすれば低栄養になることも避けられます。身体的・精神心理的・社会的フレイルのすべてを予防できる簡単で楽しい方法なのではないでしょうか。

次回は新しいテーマ「アンチエイジング」を取り上げます。