【フレイルを考えよう その2】精神的フレイル

LINEで送る
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

前回よりフレイルについて解説しています。2回目の今回は、フレイルの3つの分野の一つ、精神的フレイルについてご説明します。

精神・心理的フレイルとは、MCIとは?

フレイルには、身体的なフレイルだけではなく、精神・心理的フレイルもあります。この精神・心理的フレイルは認知症に代表される認知機能障害、あるいはうつ病などの気分障害や強迫観念や介護生活不安からくる不安障害といった精神・心理的問題が背景となります。精神・心理的フレイルは身体的フレイルと認知機能障害が共存することと、認知症ではないことを要件としています。
なかには、生活習慣病、低栄養等の栄養障害、更年期後のホルモン異常、うつ、不安等の精神・心理的要因などが含まれますし、疲労感などの精神的・心理的な面も診断基準に含まれています。認知機能面の低下が疑われない方の中でも、日常的に生活変化が少ない、または活動性が低くなっている状態の方は、日常的な脳への刺激量が少なくなり、認知機能・精神機能低下の可能性が高くなります。このように認知症には至っていないけれども、倦怠感や意欲の低下などの場合は「コグニティブ・フレイル」と呼ばれます。例えば、「定年退職した」、「骨折して家から出なくなった」、「家族や友人との死別」といったことをきっかけにして生活範囲や行動範囲が狭まり、精神・心理状態が落ち込むと同時に口腔機能や栄養状態も悪くなっていきます。このようにドミノ倒しのように衰えが進んでいく現象をメタボリックドミノと同様、「フレイル・ドミノ」と呼んでいます。
さらに現在注目されているのが、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)と呼ばれ、認知症の前段階にあたる状態です。つまり認知機能の低下が起きているものの、日常生活に影響するほどでは無い状態です。代表的な、「あれ、これ、それ」といった記憶障害をはじめ、注意力や集中力の低下、物事を計画立てて順にこなすのが困難になる実行機能障害などが多く見られるようです。軽度認知障害への理解を深め、危険信号を見逃さないことが、次のステージである認知症への備えになります。
高齢期の精神的フレイルの要因の一つに中枢神経の加齢があります。体の加齢と一緒で新しいことが覚えられなくなったり、反応が鈍くなったりします。またアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が減ってくるため、悲観的になったり、周りに興味を持てなくなったりすることもあります。加えて、家族や友人の死、社会的な役割の終了(再雇用や再就職の終了)、将来や病気、死への不安などが加わり、不安障害に発展することもあります。若年層のうつ病に比べると、抑うつ気分のような精神症状よりも身体的不調の訴えが目立ちます。不定愁訴や活力の低下を「歳のせいだから仕方がない」と納得していませんか?

精神的フレイルに効果的な栄養素や機能性成分

精神的フレイルの予防に食事はとても大切になります。乳類・豆類・野菜類・海藻類などの伝統的日本食パターンを持つ高齢者は認知症発症リスクの低かったことが報告されています。また国立長寿医療研究センターの研究では、青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)・乳製品、脂肪類としては短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸、大豆製品などの摂取が認知機能の維持に有効との結果を得ています。
日本食や地中海食に代表される伝統食に見受けられるオメガ3系脂肪酸や短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸といった脂肪酸の認知症予防効果の研究もあり、また脳に多く含まれるリン脂質の一種であるプラズマローゲンやホスファチジルセリンといった新素材もサプリメント等で注目されています。あるいは欧米で多く利用されているハーブサプリメント素材であるイチョウ葉エキスやローズマリー、レモンバーム、スペアミントといったシソ科植物のフィトケミカルズも認知機能に有用な素材として注目されています。

次回は昨今話題になっている孤食に代表される社会的フレイルについてお話しします。