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[食材選びは栄養素から!]シリーズ③

セルフケアを意識した生活を送るために、欠かすことのできない毎日の食事。ご自身、またはご家族の健康を考えて作る献立は、楽しくもあり、難しくもあるものです。そこでこのシリーズでは、見過ごしがちな普段づかいの食材の栄養素をクローズアップしていきます。「この栄養素とあの栄養素が足りていないから、今週はこの食材を使った料理をつくろう!」と、買い物をしながら頭の中で献立ができあがるようになれば、もうセルフケアの上級者!?
みなさんの毎日の献立づくり、総菜選びのヒントとしてご活用ください。


家庭料理に欠かせない食材として定番中の定番玉ねぎ。「血液サラサラ効果」や「抗酸化作用」など、期待される健康効果でも人気の野菜です。お正月が終わった頃から6月下旬にかけて、春野菜の代表格でもある新玉ねぎが店頭に並びます。皮が茶色い普通の玉ねぎと新玉ねぎの両方が並ぶこの時期、その栄養価からするとどちらを選ぶべきか?と、悩まれる方も多いかもしれません。そこで今回は、普通の玉ねぎと新玉ねぎの違いについて見ていきましょう。

●収穫~出荷時期の違い

一年を通して手に入る、いわゆる普通の玉ねぎは、日本で多く栽培されている黄玉ねぎと呼ばれる品種群のもので、収穫後に風を通して乾燥させてから出荷されます。皮が茶色く、貯蔵性の高さや辛味の強さが特徴です。
一方の新玉ねぎは、白玉ねぎや黄玉ねぎといった品種群のものが一般的で、春に旬を迎え、葉がまだ青々としている時に早めに収穫し出荷され、皮が薄く、甘みとみずみずしさが特徴となります。
普通の玉ねぎと新玉ねぎは、品種としてはほぼ同じものです。そのため含まれる栄養素も、品種による多少の違いはあるものの大した差異はありません。特に目立つほどの含有量ではありませんが、炭水化物、カリウム、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、ビタミンC、食物繊維などが含まれています。

●「血液サラサラ効果」は硫化アリル

一般成分以外の栄養素として、玉ねぎの健康効果の所以ともいえる成分に硫化アリルがあります。これは、玉ねぎだけではなく、にんにく、にら、ねぎなどにも含まれる匂い成分で、包丁を入れた時にこの成分が目にしみて涙が出る原因となる、揮発性の高い有機化合物です。
以下のような健康効果が期待されると言われています。

【硫化アリルの健康効果】
・硫化アリルの一種、プロピルメチルジスルフィドによる作用で、血液の凝固を抑制し、動脈硬化を防ぐ。
・ヒトのエネルギー代謝に重要な役割を果たすビタミンB1の吸収率を高める作用があるため、慢性の疲労回復や筋肉疲労の解消といった効果が期待できる。
・交感神経を刺激して体温を上昇させることで、風邪予防や脂肪燃焼効果に繋がる。

ただし、硫化アリルは水溶性の成分のため、辛味を取るために水にさらすとその成分が流れ出てしまいます。この点からすると、辛味の少ない新玉ねぎのスライスがおすすめ!といきたいところですが、硫化アリルは辛味成分のため、辛味の少ない新玉ねぎは、普通の玉ねぎに比べると含有量が劣ってしまいます。

●「抗酸化作用」のケルセチン

玉ねぎに含まれる栄養成分として、最も注目を浴びているのがケルセチン。ポリフェノール類の色素成分であるフラボノイドのひとつで、野菜や果物(りんご、ブロッコリーなど)にも含まれますが、特に多く含まれているのが玉ねぎです。このケルセチンの最大の特徴である抗酸化作用によって、下記のようなさまざまな健康効果が期待されています。

【ケルセチンの健康効果】
・生活習慣病予防
・抗炎症作用、抗アレルギー作用
・認知機能改善
・発がん抑制作用

【玉ねぎの調理法】

ケルセチンは、玉ねぎの外皮(茶色い皮)に最も多く含まれ、内側に行くほど含有量が低くなります。また、日に当てると含有量が増えるという特徴があるので、農家の軒先で見られるような乾燥方法は、ケルセチンを増やすことにも一役買っているようです。
また、ケルセチンは加熱に強いので、煮込み料理や炒め物などにも安心して使えます。
硫化アリルを意識する場合には、すり下ろして自家製ドレッシングにしてはいかがでしょうか。お酢やオイルと合わせれば、生のままでも辛味を緩和できます。

新玉ねぎは、生のままスライスしただけで甘みとシャキシャキとした食感を味わえることが最大の魅力。栄養成分の含有量が少なさなど気にせず、春野菜として旬を堪能したいものです。
旬の野菜を取り入れたり、栄養成分を活かした調理法を工夫したりすれば、料理のレパートリーも自然に増えるかもしれませんね。

《参考》
文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

独立行政法人農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000537.html

一般社団法人日本植物生理学会
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=4132&key=&target=