[食材選びは栄養素から!]シリーズ⑤

セルフケアを意識した生活を送るために、欠かすことのできない毎日の食事。ご自身、またはご家族の健康を考えて作る献立は、楽しくもあり、難しくもあるものです。そこでこのシリーズでは、見過ごしがちな普段づかいの食材の栄養素をクローズアップしていきます。「この栄養素とあの栄養素が足りていないから、今週はこの食材を使った料理をつくろう!」と、買い物をしながら頭の中で献立ができあがるようになれば、もうセルフケアの上級者!? みなさんの毎日の献立づくり、総菜選びのヒントとしてご活用ください。


年度替わりの忙しさや、ゴールデンウィークといった嬉しいけれど長い休暇、季節の変わり目の寒暖差など、4月から6月にかけては、体と心がなにかと落ち着かない季節でもあります。気がついたら食欲がなくなって無気力になってしまったり、疲労感が一日中とれなかったり、急に不安感が襲ってきたりと、さまざまな体調不良が生じやすい時期でもあります。もしそのような症状が現われたら、それはよく言われる「五月病」かもしれませんが、セルフケアを心がける私たちは、栄養の摂取で事前の対策をとっておきたいものです。
そこで今回は、この時期にぴったりの栄養素を含む食材、“カツオ”に注目です!

●カツオに含まれる話題の栄養素

日本近海で獲れるカツオは、春にフィリピン沖から黒潮の流れと共に北上してきたものを初ガツオ(上りガツオ)、夏の終わりから秋の初めに三陸沖まで北上して水温が低くなったところで南下してきたカツオを戻りガツオ(下りガツオ)と言い、1年に2回の旬があります。旬の時期には生のものが多く出回りますが、加工されたなまり節やかつお節など1年を通して食することができる、日本人には馴染み深い魚です。
含まれる栄養素は、血管を健康な状態に保つ成分として注目されているDHAやEPA、肝機能を高めるタウリンなどがあります。タンパク質や脂質も豊富ですが、初ガツオは餌を求めて北上してきたばかりのため痩せていて脂質が少なく、その後餌を食べ続けながら北上した戻りガツオは、初ガツオの10倍以上の脂質を蓄えています。ヘルシーという意味では初ガツオの方が適していますが、DHAやEPAについては脂の乗った戻りガツオの方が豊富に含まれています。

●気分の浮き沈みや疲れにも効果的?

カツオに含まれる栄養素として、覚えておきたいのがビタミンB群です。B群はB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのことで、それぞれがお互いに助け合いながら体内でさまざまな役割を果たします。食事から摂取した糖質・脂質・タンパク質のエネルギー産生に補酵素として重要な役割を担い、また皮膚や神経の機能を健康に保つためにも活躍する栄養素です。

中でも注目したいのがビタミンB6。主にタンパク質からのエネルギー産生に関わり、血液や筋肉、肌などそれぞれの組織が作られる際に必要な補酵素として働きます。不足すると皮膚炎、貧血、免疫力の低下などが起きると言われています。タンパク質の新陳代謝に不可欠な栄養素のため、日頃からタンパク質を多く摂っている方は特に意識して摂取する必要があります。また、タンパク質は体内でアミノ酸に分解され、ドーパミンやアドレナリン、GABA(ギャバ)、セロトニンなどの神経伝達物質が合成されますが、その時にもビタミンB6が補酵素として働いており、自律神経や脳内ホルモンにも関わっています。中枢神経の働きを安定させる作用があるため、イライラや不安などを和らげる効果を期待できます。 最近では葉酸ビタミンB12などとともに、うつ病に代表されるストレス性疾患の予防にもビタミンB6は注目されています。他にも、気分や感情を穏やかにするとも言われるセロトニンは、アミノ酸の一種であるトリプトファンという栄養素から合成されますが、このトリプトファンもカツオには多く含まれています。トリプトファンは炭水化物(ごはん、パン、麺類など)と一緒にとると吸収率がアップします。さらに、ビタミンB6(レバー、魚、サツマイモなど)や鉄分(レバー、貝類、海藻類、ほうれん草など)を含む食品を一緒にとると、セロトニンへの合成が効率的にできるといわれています。
その他、私たちが食事から最も多く摂取する糖質をエネルギーに代える際に必要なビタミンB1が含まれているため、疲労回復効果も期待できます。

ビタミンB6の働きはオンライン講座で確認しましょう。

●プラスαで疲労回復!

ビタミンB群は水溶性のため、調理によって煮汁やゆで汁にせっかくの栄養素が溶け出してしまいます。ここで紹介したカツオの栄養成分を余すところなく摂りたい場合には、やはり旬の時期に刺身かたたきなど、生で味わうのがオススメです!
また、かつおと合わせていただきたたいのがニンニクや玉ねぎ。これらに含まれる硫化アリルはビタミンB1の吸収率を高める作用があり、疲労回復の効果を長持ちさせることもできます。
お刺身にはシソやミョウガ、ネギ、ショウガ…といった薬味が定番かもしれませんが、すり下ろしニンニクやスライスしたニンニクもチャレンジしてみる価値はありそうです。

他にも、玉ねぎのスライスと水菜などの生野菜と合わせて、醤油ベースのドレッシングをかけていただくなど、薬味や味付け、調理などのひと工夫で、カツオは和・洋・中と様々な味で楽しめます。自分なりのアレンジで美味しく栄養を摂取し、憂鬱な時期を乗り切りましょう!


《参考》
文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全・有効性情報
https://hfnet.nibiohn.go.jp