免疫について その2【健康キーワード解説】シリーズ ⑨

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「免疫」シリーズ2回目は獲得免疫の武器「抗体」についてお話しします。

抗体は異物を認識して結合し、免疫を担う細胞を活性化させる。

免疫機能には2つの機構があります。1つはT細胞のように抗体以外の免疫を担う細胞が中心になる免疫です。もう1つが病原体や異物(「抗原」とも呼ばれる)を排除するための武器となる抗体が主役になる免疫です。異物(抗原)が体内に侵入するとマクロファージのような貪食細胞が抗原の情報を“司令官”であるT細胞の一つ、ヘルパーT細胞に伝えます。(抗原提示という)

ヘルパーT細胞はB細胞に対して抗体を大量に作るように指令を出します。指令を受けたB細胞は「形質細胞」という抗体を大量に作れる細胞に変化します。そのB細胞が作り出す抗体の数は1秒間に2000個ほどにもなります。この抗体を使って抗原を分解・排除します。
抗体は特定の異物に結合してその異物を生体内から除去する物質で、もとは「免疫グロブリン」というタンパク質が主体です。よく花粉症の薬のCMなどで「IgE」という言葉を聞いたこともあるかと思いますが、このIgがイムノグロブリン(Immunoglobulin)の略で、その日本語が免疫グロブリンです。このIgEがアレルギーを引き起こす免疫グロブリンでもあります。つまりアレルギーとは抗原が侵入した際に、免疫細胞と出会った際に引き起こされる過剰反応の結果なのです。

さて、話を戻しますが、免疫グロブリンは脊椎動物の血液や体液中にあって抗体としての機能と構造をもち、異物が体内に入るとその異物と結合する抗体を作り、異物を排除するように働きます。私たちの身体はどんな異物が侵入しても、適合する抗体を作ることができ、その種類は10億個にもおよびます。おかげで様々な細菌やウイルスやアレルゲン(アレルギー物質)などが侵入しても、その種類の数だけ抗体を作ることで体を守ることができるのです。


この免疫グロブリンは、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類に分類され、Yの形をしていて、それぞれ異なった働きをします。
抗体には直接的に異物を分解する作用はありませんが、「補体」と呼ばれるタンパク質分解酵素と結合して最終的に細菌や細胞に穴をあけて破壊したり、あるいはマクロファージ、好中球などの貪食細胞を活性化して異物を排除します。つまり抗体は異物を認識して結合する働きと免疫を担う細胞を活性化させて異物を排除する働きがあります。以下にその働きを簡単に説明します。

*中和作用

抗体は侵入してきた異物と結合して周囲を取り囲み、毒となる部分を隠して動けなくします。さらに細菌が作り出す毒素も無毒化します。この働きを中和作用と言います。

*オプソニン効果

抗体が抗原に結合すると抗原はマクロファージや好中球といった貪食細胞たちが食べやすい状態になります。この現象を「オプソニン効果」と呼びます。
*ウイルス感染細胞の排除
ウイルスに感染した細胞が抗体と結合すると、自然免疫の一種、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)などが結合し活性酸素やタンパク質酵素を出して感染細胞を破壊し排除します。

*補体の活性化

補体は9つのタンパク質からなります。抗体が抗原と結合すると、最初に補体C1が結合します。そして次々と9つの補体が増えていきます(活性化)。全ての補体が抗原と結合した抗体に統合して、細菌の細胞膜に穴を開けて殺傷します。

免疫細胞たちの特徴を生かしたワクチン予防

異物が体内に最初に入ってきた時には前述の形質細胞の数は少なく、抗体も大量には作れません。ただしB細胞の一部は「記憶B細胞」として体内に長期間残ります。これを免疫細胞の記憶能力と言います。その後に同じ抗原が侵入した時には、以前の情報を記憶しているので、同じ抗原を攻撃する抗体が迅速に大量に作られて感染を防止してくれるのです。このメカニズムを利用したものが、皆さんもご存知のワクチンです。

新型コロナ関連でよくメディアで、社会を構成する人の6割が免疫の記憶を持てばウイルスの感染スピードが著しく遅くなると言われます。この免疫記憶は通常、ウイルスなどの病原体が体に入って感染しない限り起こりません。その論理で解釈すれば、感染防止のためにマスクの着用、手指消毒すると当然免疫記憶は獲得できません。そのため人工的に免疫の記憶を獲得する役割として「ワクチン」が不可欠となります。(もちろん予防のためにはマスク着用は最も効果的な方法の一つであることには変わりませんが、痛し返しですね。)

ワクチンは免疫記憶の獲得を誘導する物質を体内に入れて、免疫記憶を形成させます。実際にウイルスが体内に入ってきたときにワクチンによって形成された免疫記憶をもとに獲得免疫がすぐに働き、ウイルスから身を守ります。
これも防御システムの一つと考えれば良いでしょう。

ところで、健康食品の分野でよく聞く言葉に「免疫賦活作用」があります。
これは、上記のような免疫細胞たちや抗体がうまく働くために効果的な食品成分を活用した作用と言えます。現在、キノコ類やアダプトゲンと呼ばれる滋養強壮の食べ物、乳酸菌などの腸内細菌、多糖類、食物繊維といった機能性成分などなど、免疫と関係のある食品が多く存在します。

これらの機能性食品を選ぶ際は、どんな免疫細胞や抗体のメカニズムを応援してくれる成分なのかを、きちんと理解して使うことです。また注意が必要なのは、これらの免疫賦活作用はリウマチなどの自己免疫疾患やある種のアレルギーなどを持つ人が使用すると、異常になった細胞までも元気にしてしまうため、かえって痛みが増したり、症状が悪化したりすることがあります。これらの疾患を持っている方は免疫賦活作用が裏腹になることもあると覚えておいてください。このことは販売する側にも正しく伝える注意が必要です。

次回は「免疫機能の情報伝達物質、サイトカインの働きと最新研究」をご紹介していきます。

 

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