四季のある日本には、季節ごとの“旬”を味わう楽しみがあり、特に旬の野菜を食べることで季節特有の不調を改善し体調を整えるといった意味も込められています。春には冬の間に溜まった老廃物を解毒したり、新陳代謝をよくしたりする苦味や香りの強いもの(菜の花、タラの芽、ふきのとう)、夏にはほてった体を冷まし(トマト、キュウリ、ゴーヤ)、秋には夏の疲れた体を癒やして冬の寒さに備え(芋類、栗、銀杏)、冬には寒さに負けないように体に抵抗力をつける(ほうれん草、ブロッコリー、白菜)、旬の野菜にはそんな力が備わっているのです。
とはいえ、私たちが食べている野菜の中には、季節を問わず店頭に並ぶ野菜が多くあります。
それらの野菜にも旬の時期があるはず。旬の時期とそうでない時期の違いを、栄養価の違いから確認してみましょう。


●1年中出回る野菜は栄養価の変動がある!?

野菜40種程度を対象にした1年間の栄養価の変動を調べた研究によると(女子栄養大学調べ)、ほとんどの野菜に栄養価の変動がみられ、1年のなかで最も栄養価の高い期間が3ヶ月程度あり、それが世間一般に言われる“旬”の時期と重なったという結果が得られたそうです。なかでも変動しやすい成分として、カロテンとビタミンCが挙げられています。
例えばカロテンで言うと、トマトのカロテン含有量の最大値は7月で、最小値11月の約2倍。にんじんは最大値が6月で、最小値1月の約2.5倍。ブロッコリーは3月が最大値となり、最小値8月の約4倍のカロテンが含まれていました。

ビタミンCでは、ほうれん草のビタミンC含有量の最大値が12月で、最小値9月の約4倍。ブロッコリーでは最大値が2月で、10月の最小値の約2倍のビタミンCが含まれていたということです。

この研究では特にほうれん草のビタミンCの変動が大きかったとされており、他の野菜では概ね2~3倍ほどの変動がみられ、逆に栄養価の変動が少ない野菜はセロリとピーマンだけであったという結果が得られています。日本食品標準成分表において、ほうれん草のビタミンCだけが、夏採り(生20mg)、冬採り(生60mg)と、季節で標準成分値が分けられているのも納得です。

●冷凍野菜の栄養価

少なからず、野菜には収穫時期によって栄養価が変動することがわかりました。
となると、洗ったり切ったりといった下処理をせずにすむ、簡単で便利な市販の冷凍野菜の栄養価も気になるところ。ブロッコリーやほうれん草、里芋やいんげんなども冷凍野菜として販売されていますが、冷凍することによる栄養価の変化はあるのでしょうか?

日本冷凍食品協会によれば、
・急速冷凍によって損なわれる栄養素はない。―18℃以下の冷凍保存中も長期間維持される(保存料も不要)。
・旬のとれたての新鮮な原料を使用。急速冷凍前に熱湯に漬けたり蒸気をあてたりし、生鮮品を調理する場合の70~80%程度の加熱をする。こうすることによって野菜類の酵素の働きによる品質の変化を防ぎ、組織の破損を防いでいる。
このような冷凍技術によって、栄養価と品質が保たれています。
少し古いデータですが、独立行政法人国民生活センターによる「冷凍野菜の比較テスト結果(1998年1月公表)」では、いんげん・枝豆・里芋・ブロッコリー・ほうれん草の各4銘柄の冷凍食品において、当時の四訂日本食品標準成分表の値と比較し、栄養価の大きな損失はなかったという結論が出ています。

●旬を見極めて賢く栄養摂取!

ありがたいことに私たちは一年中新鮮な野菜を味わえる環境にあります。全国各地の産地で旬を迎えた野菜が順々に店頭に並ぶため、ある程度長い期間、旬の野菜を食べることもできます。そのために、野菜の旬がわからなくなったとも言われていますが、手頃な値段で普段よりも大量に陳列されている野菜は旬のものであることが多く、特に地元野菜などを扱っているスーパーではその土地の旬のものが手に入りやすいでしょう。

また、旬の時期が終わって値段が高くなった時や天候不良で手に入りにくくなった時には、冷凍食品を利用してみるのもよいでしょう。高度な冷凍技術にはかないませんが、安く手に入りやすい時期に多めに買って、ご家庭で軽く下処理をして(軽く蒸す、ゆでるなど)冷凍しておくこともできます。

野菜の旬を見極める力が備われば、おいしく、安く、栄養を賢く摂取することができるのです。見た目の鮮度や価格の安さ、陳列の多さなど、旬の野菜を知るためのヒントは売り場にあります。いつもの献立からではなく、旬の食材を選んでから、献立を考えてみてはいかがでしょうか。

《参考》
文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

独立行政法人農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000537.html

一般社団法人 日本冷凍食品協会
https://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/