よくメディアで見聞きする「食品リスク」についてご存知ですか?

食品のリスクは食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省で取り組まれています。

その中心は、科学的証拠に基づいて規制するべきリスクに集中しています。このリスクは、いわば管理対象リスクです。
一方、消費者の関心は健康を損なう可能性のある全てのリスクであり、特にリスク管理の対象にならないような軽微なリスクに危惧します。健康を損なう可能性のあるリスクを例外なく捉えるので、食経験があることにより看過されているリスクも対象になります。

通常は食品のリスクとしては捉えられない、日本人の食事摂取基準で耐用上限量が設定されている栄養素も含めることもあります。そこでは、過剰摂取すればリスクの高まることが指摘されています。ただし、あまり拡げると食品に含まれている成分が全て対象となってしまい、結局無意味になってしまうので、「合理的に疑う余地のあるリスク」に絞ることになっています。


食品安全(Food Safety)とは

意図された用途で、作ったり、食べたりした場合に、その食品が消費者へ害を与えないという保証

つまり、リスクが許容できる程度に低い状態と言えます。ただし、

・リスクがゼロという意味でない

・不適切使用による危害やアレルギーなどの影響が起こりうる

ということも忘れてはいけません。
そこで国は、以下のような視点でリスク評価を行います。

食品に含まれるいろいろなもの

• 意図的に使われるもの →食品添加物や残留農薬
→意図的に使われるものなのでコントロールされている ADI=NOAEL/SF(100)
実質的ゼロリスクで管理されています。

• 非意図的に含まれてしまうもの→食品成分(アルカロイドなど)、病原性微生物、汚染物質(重金属や
環境中汚染物質、カビ毒、製造副生成物、容器等から移行など) →現実的な管理目標を設定して管理している

*評価や管理が難しいのは非意図的成分です。


ハザードとリスク

人の健康に悪影響を及ぼす可能性のある食品中の物質や食品の状態を「ハザード(危害要因)」といいます。 また、実際にハザードを摂取したとき、どのくらいの確率でどのような悪影響があるのかを「リスク」といいます。

リスク評価の流れについて

リスク評価の大まかな流れは次のとおりです。
1)リスク管理機関からの依頼を受け、内容の聞き取りをします。 自ら評価の場合は、国民からの意見等をもとに、評価対象を決定します。
2)評価対象について審議し、評価書案を作成します。
3) 作成した評価書案について、国民からの意見や情報を募集します。必要に応じて意見交換会等を 開催します。
4) 国民からの意見や情報等を踏まえ、再び審議を行い、評価結果を決定します。
5) 評価結果をリスク管理機関へ通知します。

詳しくは、こちらをご覧ください。http://www.fsc.go.jp/iinkai/

具体的には何をするの?

リスク評価には、以下の4つのステップがあります。
1)ある物質がハザードとなるかどうか確認し(危害要因特定)
2)摂取量と健康への悪影響の度合いといった特徴を評価し(危害要因判定)、
3)人が、実際の生活の中で、そのハザードをどのくらい摂取しているのかを調べ(ばく露評価)、
4)結果を総合してリスクの程度を判断する(リスク判定)、

というステップです。

危害要因判定の1つとして、ある化学物質(食品添加物や農薬)について、 さまざまな試験のデータをもとに、「一日摂取許容量(ADI)※1」を設定することがあげられます。
ADIを設定するためには、まず、動物によるさまざまな毒性試験のデータをもとに、 悪影響の出なかった量「無毒性量(NOAEL)※2」を見つけます。
次に、これを人に当てはめますが、 より安全をみるために、人が最もこの物質による悪影響を受けやすいと考え、 無毒性量を「安全係数(SF)※3」で割ってADIを算出しています。

※1「一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)」 人が毎日一生涯にわたって摂り続けても、健康への悪影響がないと考えられる1日あたりの量のことです。 通常は、「無毒性量(NOAEL)÷安全係数(SF)」で算出され、 体重1kgあたりの量で示されます(mg/kg体重/日)。
※2「無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)」 ある物質についての動物を用いた試験の結果、有害な影響が認められなかった最大の投与量のことです。 通常は、さまざまな種類の動物に投与した結果のうち、最も小さい値をその物質の無毒性量とします。
※3「安全係数(SF:Safety Factor)」 さまざまな種類の動物試験から求められたNOAELから、人のADIを求めるために用いる係数です。 通常は、動物と人との種差や人での個体差を勘案し、100としますが、 データの質(データの不十分さ、物質の毒性の強さ等)によっては別の係数を使うこともあります。

食品には、食品添加物、農薬、あるいは微生物・ウイルスなど、さまざまなハザードがあります。
リスクが全くないことを「ゼロリスク」と言いますが、どんな食品も食べすぎれば必ずリスクがあります。
水でさえ、短時間に大量に摂り、水中毒で亡くなった事例があります。

ハザードの毒性が弱くても、摂る量が多ければリスクは大きくなり、 逆に毒性が強くても、摂る量が少なければ小さくなります。 食品の安全を守るためには、リスクを正しく評価し、きちんと管理していくことが大切です。 その一方で、リスク評価の対象とする食品中の物質は、時代とともに多様化しています。 安全性を確かめるのに用いられる試験をめぐる考え方も、これまでとは変わってきています。 社会情勢の変化や科学技術の発展に即した、より高度で妥当性のあるリスク評価を行っていくことが安全性を管理する監督機関の重要な責務です。

以下のサイトで、国の食品安全に関して、映像でわかりやすく解説しています。

政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg3208.html


≪参考≫
・食品安全委員会ウェブサイト http://www.fsc.go.jp/
・科学の目で見る食品安全(中学校技術家庭用副読本) 平成29年3月更新 http://www.fsc.go.jp/kids-box/index.data/2017.4.14kagakunome.pdf
・どうやって守るの?食べ物の安全性[改訂版] http://www.fsc.go.jp/kids-box/foodsafety/
・食品安全委員会:食品の安全性に関する用語集(第5版) http://www.fsc.go.jp/yougoshu.data/yougoshu_fsc_5.1_201604.pdf