日本人はなぜ健康食品が好きなのか? 【健康食品を考える】シリーズ⑥

LINEで送る
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

前回は、食品の成分と医薬品の成分の根本的な違いについて、成分の観点からお話ししました。このテーマの最後は食品と医薬品の違いを体への作用機序(働き方)の違いで比較してみます。

薬はレセプターに結合して効果をもたらす。

薬には様々な作用機序を持つものがありますが、飲み薬を例にとると、食べ物と同じように食道から胃を経由し、やがて小腸に届き吸収されます。吸収された薬は、小腸を取り囲む血管に入り、肝臓を通って血流にのって体内を循環(全身循環血という。)しながら、15~30分ほどで患部に届きます。患部までたどり着いた薬の多くは、細胞の表面にあるたんぱく質の「受容体(じゅようたい)(レセプター)」と結合して細胞に何らかの反応を引き起こし、それが効果となって現れます。

1つの細胞は非常にたくさんの受容体をもっていて、薬はその中から治療に必要な受容体を選択して結合します。そして受容体と結合して神経伝達物質やホルモンと同様の作用を起こす(細胞を活性化させる)物質をアゴニスト(作動薬・刺激薬)といいます。
一方、受容体と結合しても作用を現さず(活性化しない)、本来結合するはずだった神経伝達物質やホルモンの働きを阻害する物質をアンタゴニスト(拮抗薬・遮断薬)といいます。
たとえば気管支喘息の発作をおさえる「β(ベータ)作動薬(刺激薬)」は、交感神経のβ2受容体と結合し、アゴニストとして神経細胞に働きかけることで気管支を拡張させ、それにより空気を通りやすくします。あるいはアレルギーの方の場合、生理活性物質であるヒスタミンがH1という受容体に結合すると血管が拡張し、アレルギー症状である鼻汁やくしゃみが出ますが、こんなとき「抗ヒスタミン薬」はアンタゴニストとしてヒスタミン同様の情報伝達を起こさずに、H1受容体に結合することでヒスタミンの結合を邪魔する(ブロックする)ため、アレルギー症状を抑制することができます。
最近では、花粉症を予防する、「べにふうき」という緑茶の登場など、人に及ぼす影響が食品と薬でより、複雑になってくる時代になっていくでしょう。逆に、医薬品の副作用防止やその主目的に付随して体内の必要な成分が不足してしまう事もあり、それを補う最適な健康食品を薬と一緒に積極的に摂取したほうが有用な場合もあります。ただしサプリメントは見た目、錠剤やカプセル形状で薬のようですが、医薬品のような効能・効果や用法・用量を表示することはできません。健康食品は「健康の保持増進に資すると称される食品全般」である範囲を超えることはないことも忘れてはなりません。

サプリメントの成分を把握することが大切。

食品成分と薬の成分は体の中での処理方法が異なります。でも食品の中にも、特に非栄養成分などは、カラダへの良い働きはあるけれど、薬成分と同じルートで処理されるものもあります。そういった成分が医薬品成分と出会うことで、薬の効き方を左右してしまったりすることがあります。それを相互作用といいます。
相互作用にも、その影響の仕方で、大きく二つに分けられています。薬力学的相互作用薬物動態学的相互作用とちょっと舌を噛みそうな名前ですが、簡単に説明すると、前者が薬自体の利き方に食品成分が影響を与えてしまう相互作用であり、後者は、薬がカラダの中で処理されるプロセス(吸収、分布、代謝、排泄)の中で、その過程に影響を及ぼし、それぞれの過程おける薬物濃度の変化を生じさせる相互作用のことです。ある種の食品成分が、薬に与える影響によって薬が効かなくなったり、逆に効きすぎてしまったりするのです。
薬も食品も最終的にカラダの中で何らかの働きをしますから、どうしても成分によっては、相互作用に注意する必要があります。サプリメントの場合は、有効成分以外にも、さまざまな成分や基剤が含まれますから、必ず何が使われているのか、相互作用やアレルギー物質が無いかなどをちゃんと確認して使う必要があります。


さてこれまで6回にわたり、薬と食品の作用の仕方や性質、役割の違いなど基本的なことを中心にお話ししてきましたが、いかがでしたか?

次回からは、新しいシリーズとして、サプリメントに使われている機能性成分のそれぞれを取り上げながら、なぜ栄養素でもない成分がカラダに役立つ働き(機能性)を持つのかを考えていきたいと思います。読者の皆さんで知りたいことがありましたら、ぜひ編集部へお伝え頂ければ、テーマに取り上げたいと思っています。