日本人はなぜ健康食品が好きなのか? 【健康食品を考える】シリーズ⑤

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前回は、食品の成分と医薬品の成分の根本的な違いについてお話ししました。今回も引き続き、食品と医薬品の違いを体への作用機序(働き方)の違いで比較してみます。

食品と医薬品はそれぞれ目的と役割が違う。

前回では医薬品と食品成分の違いに、いつも食べている成分である食品と病気の時に使う医薬品の成分の目的の違いとその使用量の違いについてお伝えしました。

私が運営している植物療法スクールの生徒さんから、よく質問があるので、ご紹介します。
ハーブや薬草と呼ばれる植物の成分には医薬品に使われる成分も多々あります。
例えばある植物に含まれるAという成分を抽出し、濃縮精製した原料を使ったサプリメントの1粒に含まれるAの成分と同じ量を、ハーブティーなどの粗抽出物(食材などからそのまま抽出したもの)で摂取しようと思ったら、茶葉が1kgぐらい必要な成分もあります。ハーブティーが通常2g程度の茶葉を使うとしたら、ティーにして500杯ですね。
流石にそんなに飲めません。またこれが医薬品と同量を摂取するなら、さらに数倍以上のハーブティを飲まなくてはなりません。それだけ、「一般食品<サプリメント<医薬品」と、同じ成分であっても含まれる量は大きく違うのです。といった話をすると、中には、「じゃあ、ハーブティーは効かないの?」と反応する人も必ずいます。
そんなことはないのです。
これまでもお話ししている通り、食品、サプリメント、医薬品とそれぞれ、目的が違うので役に立つ分野が違うということを理解しなくてはなりません。「効く」という概念は、いいかげん食品分野から排除しなくてはなりません。
以前もお話しした通り、食品は健康に「役に立つ」のです。

健康食品の成分の多くは、体の中に吸収され、体の一部になる栄養素と、栄養素ではないですが、体の中でなんらかの働き(機能)を与えて、最終的には出て行ってしまうものに分かれます。
いずれも普段皆さんが食べ物として摂取しているものです。その中からカラダが必要とする成分のみが使われ、その時に必要でないものはそのまま使われることなく排泄されてしまう。だからサプリメントを食べても反応がない人と、なんらかの反応が出る人がいるわけです。かたや医薬品は病気の治療のために使うものです。だから必ず反応がある。つまり効くわけです。医薬品は100人いたら100人に効くものでなければ、治療薬になり得ないわけです。ここが食品との大きな違いです。
また、薬は治療に使う必要があるからこそ、作用が必ず働かなくてはならない。
(活性力が強く治療に使えるが、その分、正常な細胞にもダメージを与えてしまう。それを副作用と呼ぶわけです。)
しかしサプリメントの成分には、そこまでの強い働きは無いのです。
そのメカニズムについては、また次の機会にお話しします。

薬は治療をするもの、食品は治癒力を助けるもの。

ただし、病気は薬を服用さえすればすぐに治るものばかりではありません。
薬は病気を治す手助けをするものです。人間には病気やけがを自分で治そうとする力、自然治癒力がもともと備わっています。たとえば、風邪薬はのどの痛みや発熱などの症状を抑えますが、それで風邪が治ったとはいえません。かぜの諸症状を薬によって抑えながら、自身の自然治癒力によって風邪を治していくのです。

しかし薬ばかりに頼りすぎて、本来の健康の三原則(運動、食事、睡眠)を守らないと、薬の効力をきちんと得ることもできません。健康の三原則を守りながら、健康食品を摂取している人は自然治癒力も最大限に活かせます。
薬と食品はお互いが役割も力も違えども、それぞれの立場で私たちの健康維持と治療という目的を果たしてくれているのです。だから薬の代わりに健康食品を代用することはあり得ないのです。

次回は医薬品の働きと食品との相互作用についてすこしお話しします。