アンチエイジングの三要素 炎症その2【健康キーワード解説】シリーズ⑦

LINEで送る
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

アンチエイジングシリーズの最終回は、抗炎症をテーマに慢性炎症の原因と炎症を防ぐ成分についてお話しします。

慢性炎症の原因と特徴

老化に伴って慢性炎症が起きやすくなる背景として、①老化した細胞や死んだ細胞の蓄積と②脂肪の蓄積による炎症が関与していると考えられます。

①老化した細胞や死んだ細胞の蓄積

活性酸素による酸化や糖化によるAGEの増加が進むと老化して死ぬ細胞も増加します。死んだ細胞は免疫細胞のマクロファージが食べてその場から消してくれます。しかし加齢に伴ってマクロファージの機能が低下すると、死んだ細胞の「食べ残し」が生じます。その食べ残しが炎症をさらに継続させ、その結果、慢性的に炎症状態になってしまいます。

死なないまでも、老化し本来の機能が果たせなくなった細胞は「細胞老化関連分泌因子(SASP因子)」と呼ばれる炎症や老化のシグナルを分泌するようになります。それによってマクロファージが呼び寄せられ、不要な老化細胞はカラダから排除されるのですが、マクロファージの機能が低下し、老化した細胞がそのまま長期に生体内に生存し蓄積すると、SASP によって炎症シグナルが分泌され続けます。するとその周囲の組織に炎症反応や発がんの促進を引き起こしてしまいます。

②脂肪の蓄積による炎症

加齢に伴う全身的な代謝や内分泌系の変化も炎症を促進する可能性があります。
例えば、閉経などによるホルモン濃度の変化によって慢性炎症が誘導されることがあります。また、肥満は内臓脂肪組織を始めとして様々な組織に炎症を誘導することがわかっています。加齢により、本来脂肪をためておく場所である「皮下脂肪」の機能が低下し、脂肪量が減ると行き場所を失った脂肪組織は内臓脂肪や本来脂肪が蓄積しない組織(肝臓、筋肉、骨髄など)に蓄積するようになります。その結果、組織内で炎症を誘導してしまいます。
加齢によって老化が進むと慢性炎症を起こし、慢性炎症がさらに老化を加速させるという負の連鎖に陥ってしまいます。これも慢性炎症の厄介なポイントです。

慢性炎症は細胞レベルの老化を促進し、全身に飛び火する。

さらに慢性炎症はDNAの損傷をもたらし遺伝子レベルで細胞老化を促進します。すると生きた細胞の成長と分裂が止まるため、組織の再生や自己修復能力が制限されます。結果、組織の機能は低下していき、前述のSASP因子の分泌も増えることになり、さらに老化が加速し慢性炎症も増悪する、という悪循環に陥ります。
例えば「歯周病」は歯周病菌の感染で発生する慢性炎症ですが、そこで産生された「炎症性サイトカイン」と呼ばれる炎症シグナルは血液や血管を介して他の臓器へ波及します。これが歯周病による炎症が血管の炎症を引き起こし、動脈硬化を促進する原因です。このように慢性炎症という“ボヤ騒ぎ”は炎症の存在する組織だけではなく、血液や血管を介して全身の臓器へ飛び火し、影響を及ぼすのです。

慢性炎症を防ぐ食べ物とは?

加齢による機能低下は避けようがない部分ですが、肥満、歯周病、喫煙習慣など炎症の要因を改善することで慢性炎症への悪循環を軽減することができます。また慢性炎症と活性酸素による酸化(酸化ストレス)はニワトリと卵のような関係ですので、抗酸化・抗炎症の食品を積極的にとることが大切です。
炎症と関係のある栄養素が不飽和脂肪酸です。中でも必須脂肪酸の「ω-3系脂肪酸」や「ω-6系脂肪酸」はよくご存知かと思います。脂肪酸の代謝ではさまざまな生理活性物質(エイコサノイド)が生成されます。ω-6系脂肪酸に由来するエイコサノイドは炎症の過程において炎症促進的に作用し、ω-3系脂肪酸から産生されるエイコサノイドは抗炎症作用、血管保護、炎症性サイトカイン生成の抑制など炎症抑制的に働きます。このω-6とω-3のバランスが崩れるとアレルギーや生理不順などを引き起こします。さらにEPAやDHAから生合成され、抗炎症作用がある「脂質メディエーター(免疫、生体防御、血圧調節、痛みや発熱、消化管活動、細胞増殖、分裂と分化制御など幅広い生理機能を持つ脂質のこと)」が、ごく微量で抗炎症作用を発揮します。「プロスタグランジン」、「トロンボキサン」、「ロイコトリエン」「レゾルビン」「プロテクチン」といった物質が炎症をコントロールしています。

炎症体質への対策にもなる「アンチ・インフラマトリー(炎症緩和)」が期待できる食品を使った「抗炎症ダイエット」(体内の炎症を抑える食生活)をはじめとするライフスタイルの実践が注目され始めています。
昨今CMなどでも見かけるMCTオイル(中鎖脂肪酸だけでできているオイル)とか、消化に時間のかかる全粒穀物などもその一つです。それ以外にも良質な脂質を含む植物性タンパク質(豆類、大豆発酵食品)、ゴマなどの種子類やナッツ類、ポリフェノールを多く含む“多品種(これが大事)”の野菜と果物、そして飲み物では緑茶やフラボノイドを多く含むハーブティーなども効果的です。さらに腸内環境を整える乳酸菌や発酵食品を積極的に摂取することです。

これまで数回にわたり、健康食品の大きなテーマの一つアンチエイジングの3要素、抗酸化、抗糖化、抗炎症について、お話してきました。抗酸化、抗糖化、抗炎症は年齢とともに起こりやすくなるため、生きている限り細胞機能・臓器機能の低下は免れません。

しかし、それを軽減することはできます。ただ、目に見える成果がすぐに見えないのが難点ではありますが、気長に努力を続けていくことが健康長寿の最大のポイントですね。裏を返せば、成果がすぐに見えてこないからこそ、健康食品の長期的市場価値は高いとも言えます。

次回から新しいシリーズがスタートします。お楽しみに。

 

Follow me!