アンチエイジングの三要素 炎症その1【健康キーワード解説】シリーズ⑥

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アンチエイジングのキーワード、抗酸化、抗糖化に次いで3つめの「抗炎症」について2回にわたって説明します。

炎症には急性と慢性がある。

炎症作用には2つのタイプがあります。ひとつは「急性の炎症」です。これは特定の怪我や病気の症状に対する、私たちの肉体の自然な反応として引き起こされるものです。そしてもうひとつが「慢性の炎症」とされるものです。
これは炎症作用が1週間や1カ月間、場合によっては数年間も継続します。体感を伴わない炎症ですが、身体のトラブルのサインでもあるのです。近年の研究で老化と炎症をつなぐ関係が明らかになってきました。

皆さんがイメージする炎症といえば、例えば、怪我をした時に患部が腫れる炎症や風邪の時に喉が腫れるといった症状などではないでしょうか。この炎症はヒトが本来持っている「自然治癒力」によるものです。自然治癒力は自己防衛機能のひとつである免疫が関わっています。これを「免疫応答反応」と言います。医学的には「炎症の4兆候」と言われる、「発赤(はっせき):赤くなる」「腫脹(しゅちょう):腫れあがる」「発熱(はつねつ):局所の熱感」「疼痛(とうつう):圧迫されたような痛み」です。
さらにこの4兆候に加えて「炎症を起こした箇所が機能障害を起こす。」状態が起きること、これが免疫応答反応なのです。

ヒトのからだはこの反応をうまくコントロールして、必要に応じて、炎症をおこし、免疫細胞がウィルスや細菌、あるいは傷害の修復などをしやすくします。この機能が上手く働かないと炎症がさらに進行し、あるいは、リウマチなどのような自己免疫疾患(免疫細胞が敵と味方が分からなくなり、正常な細胞を攻撃してしまう病気)を引き起こしてしまいます。また最近、脅威となっている新型コロナ(covid19)の「サイトカイン・ストーム」も炎症と関係があります。免疫細胞たちが連携して敵と戦う時に発する種々の情報伝達物質(サイトカイン)が暴走してしまい、サイトカインの分泌コントロールができなくなる状態です。そうなるとウイルスだけでなく自分自身の細胞までも傷つけてしまうので、もともと疾患を持っている人の場合、さらに過剰な炎症が起こり、多臓器不全に陥ってしまうわけです。テレビ等で連日報道されていることですね。

こういった何か重大な傷害が発生した際にカラダを守ろうとする時の炎症が「目に見える炎症」だとすれば、もう一つの炎症が活性酸素で傷ついたり、糖化によってできたAGEsによって引き起こされる、日々の生活の中で起きる細胞の炎症である「微小な炎症」なのです。

微小な炎症から慢性炎症へ

生活習慣病やがんを含む加齢関連疾患に共通するキーワードが「慢性炎症」です。その特徴として「老化」と「慢性炎症」の相関関係が挙げられます。60兆個もある私たちの細胞で日々起きている、目に見えない「微小な炎症」は言うなれば“火災の前のボヤ”なのです。このボヤを消しきれない状態(慢性炎症)が続くと「炎症体質」になっていき、さらなる老化を促進させてしまうのです。

例えば、加齢の典型的な病気である動脈硬化の場合、酸化コレステロールが血管壁に沈着し、免疫細胞がその酸化コレステロールに反応して炎症が生じます。コレステロール値が長年高くて、かつ炎症が慢性化した状態になると、徐々に血管が固くなり動脈硬化が完成し、同時に血管の中も傷ついて血栓ができます。また歯周病による炎症が動脈硬化を促進することもわかっています。このように、老化や加齢に伴って増加する生活習慣病には慢性炎症が密接に関わっているのです。
炎症(inflammation)と老化(aging)を合成した「インフラメイジング(inflamm-aging)」という造語があるほど、炎症と老化は密接な関わりがあります。動脈硬化によって起きる心筋梗塞や脳梗塞、アルツハイマー病、慢性関節炎などは、いずれも慢性炎症が関与する病気です。また炎症が繰り返し起こっている臓器や組織には、がんが発生しやすいこともわかっています。つまり、アンチエイジングには、いかに必要のない炎症を抑え込むかが重要となってくるのです。

免疫細胞の7割近くは腸に存在する。

免疫の仕組みは、血液内部以外にも人の粘膜や消化管、皮膚など様々な箇所に存在します。中でも、腸の中にはインフラメイジングにも関わる免疫細胞がカラダ全体の60〜70%も存在しています。
なぜ腸にはこんなにも多くの免疫細胞が集まっているのでしょうか? それは、腸が体内と体外を隔てる門番のような役割を果たしているからです。これを「腸管免疫」と言います。通常は緊急時の攻撃として働く炎症反応は、腸の中でも抗炎症反応によって慢性化しないように抑えられてバランスが保たれています。しかし、加齢によって抗炎症作用がうまく機能しなくなることで慢性的な炎症反応が続き、インフラメイジングの状態になってしまいます。

この腸の炎症を抑える働きをしている免疫細胞には炎症を抑えて免疫バランスを整え、インフラメイジングに対抗して腸の健康を支えてくれる細胞もあります。また腸のアンチエイジングに必要な成分の一つとして注目されているのが短鎖脂肪酸の「酪酸」です。酪酸は抗炎症作用を持つ免疫細胞を活性化しますし、炎症によって傷付いた腸の細胞や粘膜を回復させることも知られています。さらに腸を刺激してぜん動運動をサポートするため、加齢によって停滞しがちな高齢者の便秘にも貢献します。
腸を一つの例に炎症と免疫の関係をご紹介しましたが、改めて脂肪酸と腸内細菌の関係や腸内環境については、別の機会に触れていきたいと思います。
さて次回は、「慢性炎症」のいくつかの原因と炎症体質を防ぐ食品成分について紹介します。

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