アンチエイジングの三要素 抗糖化その4【健康キーワード解説】シリーズ④

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前回に引き続き「抗糖化」についてお話しします。今回は糖化が引き起こす、代表的な疾病について取り上げ、その関連性をご説明します。

糖化は血液から始まり、様々な疾病へ広がる要因

前回、糖化は最初に血液中で発生し、動脈硬化を引き起こす要因となることについてお話ししました。糖化が血管や内臓に影響を与える影響は多岐に渡ります。血管の組織が糖化によってもろくなると血管壁に炎症が起こりやすくなり、動脈硬化などがきっかけで心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管障害のリスクが高まります。

以下に代表的な疾病と糖化との関係について、簡単にご紹介します。

糖化と糖尿病

前回も少しご紹介しましたが、酸素を運ぶ働きのあるヘモグロビンというたんぱく質が血液中のグルコースという糖と結びついて糖化する現象が1968年に発見され、「ヘモグロビンA1C」と名付けられました。糖尿病が進んでしまうと、この糖化したタンパク質であるヘモグロビンA1Cの数値が上昇していきます。糖化のもっとも大きな原因は糖分と炭水化物の摂りすぎです。糖分と炭水化物をたくさん食べれば、血液中のブドウ糖の量は増え、それを細胞に運ぶインスリンも大量に必要になります。

糖尿病の診断基準は空腹時血糖が110未満を正常、110~126未満を境界域、126以上を糖尿病としています。またヘモグロビンの糖化度を示すヘモグロビンA1cも診断基準に使われ、6.5%以上は糖尿病を疑います。ただし、これらが正常値でも、食後血糖値が200を超える人、インスリン(血糖調整のホルモン)の血中濃度が高い人は要注意です。インスリンが過剰分泌されている人は体内で糖化が着々と進んでいる可能性があります。さらに糖尿病患者は腎臓や目の細い血管が最終糖化産物(AGEs)によってもろくなってしまうため、合併症になる危険性が高まってしまいます。

腎臓は体内を巡って老廃物を含んだ血液をろ過して尿を作ります。ろ過する膜はたんぱく質でできていますから、これが糖化してフィルター本来の働きを失ってしまうと腎機能が低下してしまいます。すると血液中のたんぱく質が尿に漏れ出すことで、尿たんぱくの症状が出てしまいます。

糖化と骨粗鬆症

さらに骨では骨粗鬆症にも糖化は関係します。骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折リスクが増大する骨格疾患」と定義されており、骨の「量的要素(骨密度)」だけでなく、「質的要素(骨質)」も重要と考えられているのです。質的要素とは骨の主要な構成成分であるコラーゲンの質と関係があります。コラーゲンは骨や血管などを形成しているタンパク質の一種(結合組織といいます)で、骨の体積あたり50%を占める主要な繊維タンパクです。また、コラーゲン繊維は骨と骨の間(軟骨)にも多く含まれており、肌の構造と同じように、コラーゲンやエラスチンといった繊維同士は架橋結合という結合をしてクッションの役割を発揮しています。この架橋結合には、骨強度を高める「善玉の架橋結合」と骨を脆弱にする「悪玉の架橋結合」があります。

(架橋結合と糖化)

糖化が進みやすい食生活、生活習慣をしていると「悪玉の架橋結合」が過剰に形成され、コラーゲンの役割は失せてしまい硬くて脆(もろ)い状態へと劣性変化してしまいます。特に骨粗鬆症の約80%は女性と言われ、更年期をむかえるとホルモンの低下とともに骨密度が急激に下がる傾向があり、骨粗鬆症のリスクがさらに高くなることはよく知られています。

このことは、美容の分野でも同じです。糖化によって肌のハリを保つコラーゲン繊維が破壊されると、肌は弾力を失ってしまいます。また、糖化によって生み出された老廃物が皮膚の細胞に沈着すると、シミやくすみとなって肌の透明感が失われます。さらに髪のたんぱく質が糖化すると、髪のハリやツヤがなくなってしまうのです。

糖化と認知症

糖化は認知症との関連も指摘されています。アルツハイマー型の認知症の原因として、脳内の組織にアミロイドβというタンパク質が蓄積して、脳の神経細胞が死滅すると考えられています。
患者さんの前頭葉を調べたところ、健常な老人に比べ、3倍以上も老化物質のAGEsが蓄積していることが報告されています。そのメカニズムはアミロイドβという蛋白が何らかの作用を受けて組織に沈着しやすくなり、それが溜まって脳の神経細胞の死滅を引き起こすという考え方が一般的ですが、糖化がアミロイドβの凝集や沈着を促進、加速させているとも考えられています。また糖化によって体内に発生したAGEsが細胞死(アポトーシス)を引き起こすことも分かっています。糖尿病を抱えている患者さんが認知症になる確率が高いのも、こうした糖化の影響を裏付けていると言ってもよいでしょう。

また日本人に多い認知症と言われる、認知・機能障害を起こす疾患である脳血管型認知症においても糖化が関与します。脳の神経細胞は情報を伝達するため、隣にある細胞に軸(軸索)をのばしています。この軸は情報漏れで思考が混乱しないようカバーのようなもの(ミエリン鞘という)で覆われているのですが、認知症の患者はここの部分が非常に薄くなっています。動脈硬化による血流不足で、酸素と栄養が十分に届かないことが原因です。動脈硬化は糖化によって悪化します。またミエリン鞘自体が糖化している可能性も考えられます。

このように、糖化は目に見えない形で知らず知らずのうちに進行し、「老化」と「病気」の大きな原因となってしまうのです。そのため糖化を防ぐためには、日々の生活の仕方が重要になってくるのです。
そこで次回は、糖化にならないための食生活や健康の三本柱との関係性について紹介していきます。