アンチエイジングの三要素 その1【健康キーワード解説】シリーズ①

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今回から数回にわたって、抗老化(アンチエイジング)を語る上で欠かせない3つのワードに焦点を当て、実際に体の中で何が起きているのか?なぜそうなるのか?を中心に解説をしながら、サプリメントにかかわる素材などの働きについても触れていきます。
サプリメントなど加工食品の世界でよく見聞きする「抗酸化剤」とか「抗酸化物」と呼ばれるビタミン類やポリフェノール類が注目され続けています。この『抗酸化力』とは、一体どんなものなのでしょうか。酸化という言葉はわかっていても、体で何が起きているのかという点をちゃんと理解できている消費者は、まだまだ少ないのではないかと思っています。今更ながら人に聞けない話を改めて整理してみたいと思います。

活性した物質は安定した構造になろうと変化をする。

一時期、健康番組とかで、「酸化とは体が錆びることである」的な表現・解説を聞くことがありました。これってどういうことでしょうか?

皆さんが中学・高校の化学の授業で学んだ「物質が酸化する、酸化される」という化学変化の話です。これは皆さんの体の中で日々起きています。もっと基本をご説明すると、(ご存知の方は、飛ばして読んでください)物質は原子とか分子で構成されていますね。自然界の原子や分子には電子というものが存在して、物質の変化に関係します。例えば、水分子は水素2個と酸素1個が結びついたH2Oという分子です。皆さんは鍋に水を入れて、熱を加えると沸騰して、水蒸気(気体)になることを知っています。この出来事を化学的に説明すると、「水分子が熱エネルギーにより、水素と酸素を結び付けている電子が分子構造から飛び出し、結果酸素と水素がバラバラの状態になる。」ということです。

物質というのは、この電子によって結合していると考えてください。熱などの刺激によって、この電子が外れてしまうと、物質の状態は非常に不安定な状態になります。この状態を「活性している」といいます。つまり水蒸気は活性している状態なのです。活性した物質は電子が本来の数と異なり不安定な構造ですから、何かと結びついて安定した構造になろうとします。水を鍋の蓋などで密封して、沸騰させると水蒸気になり、また熱を冷ますと鍋の蓋に滴(つゆ)がつきますね。これは不安定な水蒸気が安定した水に戻ったということです。密封した状態であれば、元の仲間と一緒になるしかありません。つまり活性した状態から、元の状態(不活性)に戻り構造が落ち着くということです。ちょっと学校の授業っぽくなりましたが、あえて説明しました。

このことをご理解いただき、体の中で起きる化学変化を考えてみます。
体の化学変化のなかで最も重要なことの一つに「代謝」があります。中でも皆さんが生きていることの証が、食べ物(栄養素)を食べてエネルギーに変換するという代謝プロセスです。

細胞が酸化されて、そして死んでいくことを老化という。

皆さんの身体は60兆個もある細胞でできています。(30兆個ほどに分類できます)この細胞の一つ一つで日々エネルギーが作られます。その際に細胞の中では、栄養素と酸素を使って、ミトコンドリアという器官でATPというエネルギーの元が作られます。その時に不良債権ともいうべき活性酸素がいっぱいできます。ゴミを燃やした時にダイオキシンという有害物質ができるのと同じですね。「活性している酸素、酸素が使われた後の残骸、不安定な構造をした酸素」ができるわけです。これが皆さんの細胞を傷つけます。
不安定な物質は安定しようとして、他の物質に結びつこうとします。細胞はリン脂質という油でできた細胞膜で覆われているので、酸素と結びつきやすく、活性酸素は安定しようとこの油の膜に結合するわけです。これを化学の世界では「酸化」と呼びます。皮肉なことに、エネルギーのために酸素を使い、できてしまった活性酸素にまた細胞が侵されてしまうということが日々、皆さんの身体で365日24時間起きているわけです。

この活性酸素が正常な細胞に結びつくと過酸化脂質を発生させ、結果細胞の死(アポトーシスという)を早めてしまいます。これを生命科学の世界では、「老化」と呼んでいます。メディアがよく使う「酸化=老化」の根拠です。厳密には違う意味なのですけどね。
実は活性酸素は悪いことばかりではなく、この活性があるために、体内の細菌などにもくっつき、結果、体を守る働きもしてくれています。ただ圧倒的に悪い働きが多いのです。
活性酸素は細胞の遺伝子(DNA)さえも傷つけ、あるいはがん細胞の増加や動脈硬化を引き起こすなど、さまざまな病気の原因になるわけです。ちなみに一日1細胞当たり、1万から100万箇所の頻度でDNAは損傷を受けているといわれています。

活性酸素を除去するスカベンジャーという抗酸化物質

エネルギーを作るために、さまざまな活性酸素ができてしまうことは、人の体にとっては、想定内の出来事でもあります。そのため、人には活性酸素を除去する物質ともいえる酵素が体内に存在しています。また食べ物から抗酸化作用を持つビタミンを摂取します。それが「抗酸化物質(スカベンジャー)」というもので、その働きが「抗酸化力」なのです。でも現代人は、その想定内以上に、活性酸素がいっぱいできる環境にさらされています。大気汚染、タバコ、食生活、人間関係やストレス、不要な医薬品などが不必要に皆さんの体に活性酸素を増やしているのです。そこで必要になるのが食べ物から摂取する抗酸化物質なのです。

次回は、活性酸素を除去するスカベンジャーの種類や役割、植物が作り出す抗酸化成分について説明します。